このたび、初回掲載に続き、 新コラム「RICORDI DI CAPRI(カプリの思い出)」をスタートいたします。歴史を振り返り、カプリ島にゆかりのある魅力的な人物や出来事、訪れた人々、そして名所をご紹介。
今回は、「史上最も美しい王女」と称され、知性と悲劇、そしてスキャンダルに満ちた生涯を送ったジョヴァンナ1世にまつわるドラマティックな物語です。

わずか17歳でナポリ王国の王位に就いたジョヴァンナ1世。
2年後、最初の夫・アンドレア王子が暗殺され、世間は彼女に疑いの目を向けることになりました。というのも、夫の死に対して悲しみを表す姿がほとんど見られなかったからです。
次に選んだ2人目の夫は、入浴中に風邪をこじらせて急逝。
そして3人目の夫にいたっては、かつて13年間檻の中で過ごしたという、なかなか波乱に満ちた過去の持ち主。。
最後に、彼女を裏切った人物はまさかその従兄。
ナポリへ侵攻し、羽毛のマットレスに挟んで彼女の命を奪ったと伝えられています。その最期は、なんとも皮肉な運命というーー。

しかし、ジョヴァンナは単なる“スキャンダルの女王”だけではありません。
王殺しの疑いを晴らすため、ジョヴァンナはたったひとりで教皇の前に立ち、自らの潔白を力強く訴えました。
若く、美しく、雄弁に語るその姿に、法王をはじめとする聖職者たちは心を動かされ、全ての嫌疑を晴らすことに成功しました。
彼女の治世は華やか、そして驚くほど革新的なものでした。
女性が正式に医師として働くことを法で認められるよう働きかけ、芸術や都市文化の振興にも尽力したジョヴァンナ。
そしてジョヴァンナの革新の中でも、「修道院」と名付けられた高級娼館の設立。
そこでは、働く女性たちが毎日ミサに出席し、日曜は業務を休むという“修道女風”ルールを守りながら、選ばれし上流階級の男性客をもてなしていたのです。
まさに彼女らしい大胆な演出力が光る一幕なのです。

そして、カルトゥージアとの繋がり
1380年、ジョヴァンナがカプリ島を訪れる予定を立てた際、修道士たちは島に咲く最も香り高い80種の花々を摘み、彼女のために特別なブーケを用意しました。
しかし、海が荒れたため女王の来島は叶わず、花々は数日間そのまま置かれることに。
やがて、空間に広がった驚くほど美しく華やかな香りが、カルトゥージアの香水づくりの起源となります。
数世紀を経て再発見されたこのレシピから生まれたのが、カルトゥージア初のフレグランス 「フィオーリディカプリ」。
スズランやワイルドカーネーションのフローラルノートの上品さに、アンバー、サンダルウッド、イランイラン、オークの魅力が加わっています。 控えめでありながら、ロマンティックで繊細な香りです。
RICORDI DI CAPRI 第1章「私は、自身がアートでありたい」→